フランスの職業訓練について

リセや職業リセの他、後期中等レベルの職業教育機関として、見習い訓練制度がある。これは 義務教育を終えた若者に職業資格を与えることを目的とした、一般科目および理論と実践からなる技術教育を行う手工業会議所や商工会議所等か設置する見習い技能者養成センターなどの教育機関である。訓練生は受け入れ先の企業と社員契約を結び、他の契約による教育(資格、適応、進路)と並び、訓練生は養成センターにて、職業適性免状、職業教育免状、あるいはより高度な免状の取得を目指す。すなわち産業界で必要とされる技能・技術は、学校で養成すると同時に企業にその実務訓練が義務付けられおり、職業教育の財源は企業に課せられている職業税(見習い税、生涯教育税)によって賄われている。また、フランスは身分・資格社会であり生涯教育としての職業訓練機関の性格も持ち合わせ、企業から休暇をもらい、自己のスキルアップや生涯教育の一環としての社会人も学習している。


CENTRE DE FORMATION PROFFESSIONNED’ART APPLIQUES、FRANCE
直訳すれば、フランス応用芸術職業養成所

社会人対象のアート関係スキルアップセンターとして1986年に設立された。雑居ビルの1フロアにあり、
学校のイメージとははずいぶんかけ離れている。1986年に創設されたこのセンターはGD(グラッフィク)
デザイン領域を学習する。午前8時30分から午後6時30分まで学校か開放されている。このセンターには
年間150〜200人が研修を行っている。教員は10名であり、そのうち5名は最低5年のGDの経験が
豊かな教員である。

このセンターは資格を取るのが目的ではなく、会社の研修の一環や、転職をするたのスキルアップのため
の教育機関である。研修者の10%は失業者であり、研修後60〜70%の方が就職できる。入学時期は3月
または9月であり、修業年限は、個人によって異なるが、PHOTOSHOPだけの学習ならば75時間程度で修了するが、平均は500〜600時間、多い学生で800〜1000時間と、学習内容によって異なる。
代表的な教育内容は、PHOTOSHOP(画像編集)、XPRESS(編集)、ILLUSTRATOR(グラフィック)の3つのソフトを学習するものである。6ヶ月連続で750時間程度の授業時間である。当然のことながら、伝統的なアート等の講座もある。当日見学したときの授業内容は、「イメージスキャナから取り込んだイメージデータをどうすればきれいに印刷できるか?」(ピクセルの変更)といった内容だった。マックでフォトショップを利用しながらの授業であった。日本であれば10分程度の実習内容である。ところが、バカロレア試験に哲学の記述式問題(問題例:正しい先入観はあるか)が出題されるお国柄である。延々と議論が続きほとんどの生徒が質問をするのでなかなか前へすすまなかった。理論を極める姿勢(科学性の追求)に驚かされた。

小一時間授業を参観したが、教員がプロ
ジェクターを使いながら延々ピクセルの変更方法を示すだけであり、学生はほとんどマウスを触ることなく、質問をするだけだった。
 雑居ビルにある養成センター
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